「高力ボルト」不足!? だからどうしたの?
「高力ボルト」不足!? だからどうしたの?
こんにちは、しぃーです。
最近やっとメディアで「高力ボルトの不足」について話が聞こえるようになりました。
でも、建設業に関わりのない人は「ボルトが足りない?だからどうしたの?」なんて思っているかもしれません。
今回はそんな建築物や橋などに使用されるボルトが足りなくて何が問題なのかを原因と経済的な影響も見ながら私なりに解説していきたいと思います。
ちなみに、最近見積をしたら納期8ヵ月でした。。。(普段は1.5ヵ月)
今日、高力ボルトないから、仕事出来ない〜何かない?って鉄骨屋さんから電話が来ました。
— しぃー (@ssss55882877) 2019年3月25日
本当にないんだな。ボルト。
本気で高力ボルトが手に入らないので、高力ボルトを使わなくてもいい納まりを設計に変わって考え始めました。
— しぃー (@ssss55882877) 2019年3月30日
高力ボルトの納期。
— しぃー (@ssss55882877) 2019年4月6日
8ヶ月先突破しました〜
諦めましょう〜
(T ^ T)
1、 高力ボルト(ハイテンションボルト)とは?
「高力ボルト」は別名で「高張力ボルト」・「ハイテンションボルト」・「ハイテンボルト」などと言います。
高張力の鋼で作られた強度の高いボルトの事です。(下記の写真)
締め付けの方法も規定があり1度使用したボルトは取り外して再利用はできません。
こんな接合部歩道橋とか橋とかでよく見かけますよね?
2、 高力ボルトが不足して何が問題?
「高力ボルト」が不足していることによって、どんな問題が発生しているのかを説明します。
(1)建設工事の遅延、中止。→日本経済への影響
これから始めようとしている工事が中止になったり、工期に影響が出ています。
これについては建設業にあまり関わりのない皆さんは関係ないと思うかもしれません。
ですが、工事の中止・遅延は国内企業の設備投資に影響があります。
例えば、工場などの建物は製品の生産を開始するために早く完成させて、早く稼働する必要があります。ですが、ボルトがなければ建物を作ることができません。
現在、新工場を建設・設備の更新など設備投資は多くあると思っています。ですが、ボルトが足りず生産体制が整わないと、その間に外国企業が先行して生産を始め日本の生産力、技術力とも遅れをとってしまうと思っています(ロボット、5G、半導体関連はスピード競争だと思っています。)。
・公共物の修繕、災害復旧ができない。
現在の日本ではインフラの老朽化が進んでいます。
最近、ネクスコでもリニューアルプロジェクトを行うなど、インフラのメンテナンス、更新工事が進んでいます。
しかしボルトが足りず本来安心して使えるはずの橋や高速道路のボルトを交換することができません。
また、災害で橋や建物に影響があった場合それは皆さんの生活に直結します。そのためにもスピードをもって復旧、復興することが大切です。しかしボルトがないと復旧もできません。
下記のサイトがボルトが不足していた例です。
高力ボルト不足で橋の復旧に2カ月の遅れ | 日経 xTECH(クロステック)
全国的な高力ボルト不足のあおりを受け、工事を一時中止します。 - 土木のしごと - (有)礒部組現場情報
でもこのサイトにあることは氷山の一角だと思っています。
3、 高力ボルトが不足している理由。
今回の「高力ボルト」不足はいくつかの問題が重なって発生していると思っています。
原因を私なりに考えてみました。
1、 ボルトの母材特殊鋼線材の不足
メーカーもボルトの原材料確保が難しいそうです。
→特に車などへの需要が増しているため、高く買い取ってくれる海外へ材料が流れてし まう。
2、リーマンショックの影響
リーマン・ショックの影響により、2008年以降建設工事が減少し高力ボルトの需要が減った時期があり、生産企業の撤退や再編により国内の生産能力は縮小していました。
→現在需要が高まっても、急には対応できる生産能力を取り戻せない。
3、 災害による復旧工事による需要
東日本大震災の復興、熊本地震、台風、北海道の地震などの災害が多くありました。→優先的に工事が必要になっています。
4、 インフラ整備による需要増。
先ほども説明しましたが、日本のインフラは高度成長期に作られたものがほとんどです。現在リニューアルが急がれています。
4、 東京オリンピックによる需要増。
2020年のオリンピックに向けて、建設ラッシュが続いています。あれだけの工事が一斉に動き出してしまったため、とどめを刺してしまったのではないかと思っています。
最後に
うまくまとまっているか分かりませんが、読んでいただいてありがとうございます。
高力ボルト不足が、自分たちに関係のない話ではなく、経済活動・生活に直結しているものだと理解して頂ければ嬉しいです。
「じゃあ鉄筋コンクリート(RC)造で作れば?」なんて意見もあるかもしれません。
ここにはまた複雑な問題があります。それはまた今度説明しますね。
プロの皆さんは、皆さんが思う高力ボルト不足の原因は他にもあると思います。
ただ、私の意見に付き合って頂きありがとうございます。
私としては災害復旧に必要なボルトが届き、企業の設備投資、インフラの順でボルトが行き届いていくと良いと思っています。
以上です。
下記参考リンク
http://www.mlit.go.jp/common/001262531.pdf
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